舞台の感想とか、そんな感じ

忘れたくないから始めたのに、気付いたら書くことすら忘れている

Les Misérables @まつもと市民芸術館

10/3(日) マチネ

 

8/22〜8/28までの博多座公演、そして大阪全公演中止というかつてない大きな壁にぶち当たって始まった最終公演地、松本公演。

この青春を過ごした長野の地にレミゼカンパニーがやってくるのは、実に12年ぶりだそうです。場所も変わらずまつもと市民芸術館。12年前というと、ミュージカルに興味のないただの学生だった自分を思い出します。

そんな思い出の地でレミゼという作品を観られることにまずは感謝。

 

レミゼを最後に見たのは東京千秋楽。予定では大阪公演に3回足を運んで、全キャスト網羅できるなぁとか考えていたのが懐かしいです。実に2ヶ月ぶりのレミゼです。

今回のキャストはご覧の通り。

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福井晶一さんがバルジャンとして出演予定でしたが、佐藤隆紀さんに変更ということで今季2回目のシュガバルでございました。

19年では年齢差の問題で組み合わせがなかった佐藤、川口での観劇が今回はお見送りしたつもりが図らずとも叶ってしまった。

 

緞帳が上がってホール全体に響き渡るアンサンブルの声、これを身体が求めていた……。

前情報でオフマイクが4階でも聴こえる、と耳にしていたので耳に全集中、一音も聞き漏らすまいと必死でした。

そして独白の時のシュガバルの迫力といったら。

この舞台に立てなかった福井さんの魂も背負って、心の底から叫ばんかぎりの大迫力、高らかに叫び歌いあげて、バルジャンは生まれ変わったのだ。

前年のシュガバルはいい所出の心優しいバルジャン、というイメージが一気に覆されるそんな瞬間を目の当たりにして息を飲むしかできず、割れんばかりの拍手。とにかく冒頭15分で涙が溢れて止まりません。

そのまま話は進行し、夢破れてへ。

二宮ファンテはペンダントに軽くキスをして「待ち続けてるわ あの人の帰りを」と歌を続けます。本来の歌詞では「愚かな幻」だと思うのですが、私の耳には「愚かな過ち」に聞こえました。気のせいでかしら。

 

テナイン、樹里さんがパンを切りたいとおしゃっていたのを知っていたので、今回はパンを切れるのかな?とドキドキしていました。口先ばかりのイン⚪︎はパンがいい風に表現されていていつでも笑ってしまいます。切れる小道具ではないので、今回はパン切り成功ならずで残念でした……あれを切れるお二方はほんとうにすごい……。

バルジャンがコゼットを連れて戻って来た時に香水振り撒いて臭いとジェスチャーされていたり、バルジャンを誘惑するために綺麗な御御足を見せるのも常に面白い。とにかく笑いが絶えないテナイン、大好きです。

 

ベガーでは小野田アンジョの髪がふわっふわでびっくりしました!2ヶ月でこんなに変わるのか……。竹内マリウスが唯月エポに本で頭ポンして、その本を奪ってお返しに見くびらないでよ、と笑いながら頭ポンポンしていたのがとても可愛かったです。その後にエポニーヌは本を投げるのですが、人によって投げ捨て方が違うのを今回はしっかり確認することができました。そしてコゼットと出会い、エポニーヌにあの娘を探して、と優しい声で頼む、その姿に傷付くエポニーヌの顔が忘れられません。

この時にアンジョが「マリウス」と早く行くぞと声をかける声がとても優しいこと……。

 

ジャベールのスターズ。とにかく川口ジャベールの目がキラキラしていて必ずバルジャンを牢獄へ突き落とすのだ、そんな意思が強く感じられるある種の宗教的な歌。「スター、星たちは」のところがとにかく声が優しくて、星が本当に彼の味方についているのでは、と感じられる瞬間でした。

それも束の間、唯月エポの「ドジ」。これはもう安定のかわいさ、滑って転ぶを彷彿させるようなポーズがとにかくいい。ジャベールは真面目に正面の事象しかとらえずポカをやる人間に見えてくる。

 

ABCカフェでは学生たちの革命への士気がとても高まっていました。アンジョの声に呼応して「命は平等だ」「世界は俺たちが変えるんだ」

と合いの手がよく聞こえてもう泣きそう。

今回の酒瓶キャッチは失敗していましたね。何やってんだ〜みたいな感じで彼らの仲の良さが伝わってきます。

 

彩春コゼットと邂逅する竹内マリウス。緊張してコートの掴んで、隠しきれない嬉しさを覗かせる。とても初々しかったです。何を話すにもコートを掴んで、手汗が出ているのかすごく意識していました。そりゃ一目惚れの可愛い子に会うんだから手汗めちゃめちゃかくわな!

そしてODMへ。

なんかもうもっと色々覚えていたはずなのに、ここで一気に記憶が飛んでしまう。いつ見たって好き。この日は4階席、どセンター。上からエポとマリウスが駆け抜けてくるところ、グランがガブを肩車する姿、プルベールが旗を持って振るのかがよく見えました。とても貴重な体験でした。

 

ここで話の途中ですが、書く気力が切れてしまい12/30に感想を書いています……

 

二幕冒頭、丹宗グランと町田バベ学生が腕を伸ばして挙手合戦をしているのがとてもほっこり。俺が敵の様子を見てくると張り合っているようで一瞬の休息(休息とは)

BHHは個人的にいつも司教様の教えを信じて心に刻んで生きてきたバルジャンがマリウスの静かな告白を耳にしてコゼットを手放しす勇気をもって、ただでさえ聖人として生まれ変わって生きてきた彼が、さらに神に近しい存在になるイメージを持っていました。しかしこの日は真逆でバルジャンはちゃんと人間で、地に足の着いた親でコゼットを自分のエゴで閉じ込めるのではなく解放してあげなければならない。うまく言語化することができないけれど人間なのだ、ということを強く意識させられたのを覚えています。

 

 

これしか記憶にないのです。本当に。

この日、シュガーさんのカテコあいさつが血を吐くような本当に心をえぐるような内容で涙があふれて止まらなかった。このあいさつは絶対に忘れてはならない、それくらいの内容でした。

「僕は去年、取材でよく、ある質問をされました。

"あなたの人生に、衣食住と同じくらい、この演劇は、ミュージカルは必要なものですか?"

僕はこの質問をされる度に、何か悲しい気持ちになったんです。本来この質問は、僕たちが皆さんにしたい質問だからです。…皆さんに…皆さんの人生にとって、このミュージカルは、演劇は、舞台は、衣食住と同じくらい必要なものであるのか? そう思ってもらえるような舞台を僕たちは、届けていけているのか?

…そう思ってもらうために、僕たちはこうして、自分と向き合い、仲間と向き合い、切磋琢磨し合いながら高めていこうと思っていられるんです。

この舞台を観て、皆さんの人生にとってミュージカルが、舞台が、ステージが、衣食住と同じくらい必要なものだと思ってもらえたら幸せです」

詳しくはムラタさんの公式ブログでお読みください。