伊礼彼方 ミュージカルの軌跡レポ②
前回の続きになります。見ていない方は是非こちらからどうぞ。
複数キャストのメリット、デメリット
メリット
多くの人と共演ができる。
いろんな役者が出るから興行的に数字を伸ばしやすい。キャストに対して観客への需要がある。
デメリット
役に対しての積み重ねができない。
動線が決まっているから自由に芝居ができる余白が少なくて窮屈に感じる。
決められた通りにさえすれば最低限、見せることができるという両面を持ち合わせている。
同役への意識
自分は負けず嫌いだからとても意識してしまう。
芝居を変える。特に芝居に重きを。歌ばかりだと譜面通り歌うだけでオリジナリティーがなくなる。(自分にしかできないもの)
同じ動線を同じものだと感じさせないように。実際レミゼではバルジャンに対して80〜90%は同じ芝居をしたけど、残りはそれぞれに対して違う解決策を持っていた。
いろんな役作りが混ざることに対して面白いと感じている。
特に意識した人は
特にいない
他人が思いつかない人格を作るだけ。相手に対して囲碁や将棋のように何手先まで読むことができるのか常に考えている。
どうして何でもできるのか
逆にいえば中途半端、器用貧乏。
昔からひとつのことを突き詰めることができない。60〜70%はできるけどね、突き抜けてできるものはない。プロにはなれない、けど、ある程度のレベルだからこそ役者としてある程度こなせていると思う。素でいなくていい、(役という)仮面をかぶるほうが向いている。
ただ好きではないものは全くできない。
最近は楽器に興味があるんだけど、楽器を弾きたいんじゃなくて、楽器の構造だったり、仕組みや作られた理由を知りたいってことに気付いた。レミゼや星の王子さまは作曲家が曲に込めた思い(文字や音へのアプローチを)尊重して捉えたいと思いながら演じた。
自分を色に例えると
赤だけど、青に憧れている。
プライベートでも仕事でも常に燃え滾っている。最初は青い炎で冷静にしているんだけど、つい熱が上がって赤い炎になってしまう。
「勝負パンツはいつでも赤ですよ」
観客の雰囲気
愛知(名古屋)は静か、他の劇場では反応があるところも反応がなくて心配になる。ただカーテンコールがどこよりも盛り上がる。ホッとします。
出演契約について
契約書はないところが多い。これは日本特有の信用信頼関係で成り立っているけど、とても危険なことだと思う。
言えば出してくれたりするけれど、基本はないが最近は(書面契約が)増えてきている。契約書は大きい所だと主催側の都合のいい内容が多い。(例えばチケット販売の契約)
また中止になった時の補償は基本的にはあるはず。契約書がない口約束の場合でも。
今回のコロナウイルスの場合、公演分はしっかり支払われるはず。中止の分は払い戻し。おそらく殆どの公演は赤になるでしょう。
ただ、初日を迎える前に全中止になってしまった場合、補償があるとは思うけれどそこは主催側と事務所の関係性によるんじゃないかな、と。
契約を交わすときは、自分─事務所─主催の三者契約を交わしている。何かあったときに幅をきかせるのが事務所なので、強く出れるところ、出れないところで……ってことはある。
以前、小栗旬さんが俳優の組合を発足しようとして潰されてしまったことがあったが、必要なものだから、僕ら若い人たちが変えていかなければならないことだと思う。
エンジニアが決まった時の感想
単純に嬉しかった。
エンジニアやジャベールは40歳を超えてから受けようと思っていたけど、東宝さんが背中を押してくれてオーディションを受けた。すごく感謝している。背中を押してくれたことに対して報いることができたな、と。
エンジニアは初演からずっと立っている市村さんから盗めるものは全部盗むつもりで。先輩たちの演技が見れることが財産だと思う。それらを自分のものにアレンジして、次の時代に活かせるようにしていきたい。
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最後に歌の披露がありました。
アルバム Eleganteより
最後のダンス
Estrellas
エリザベートにまた出たいです。ここにも従順な🐕がいることアピールしてください、みなさん!
とのことでした。伊礼トート見たすぎるのでほんと観たい、どうぞお願いします、小池先生!