パレード@愛知県芸術劇場
2/14(日) マチネ
スネアドラムが鳴り響く劇場
打楽器を、特にスネアドラムを10年叩いてきた私にとって、こんなに重いスネアドラムは初めてでした。どちらかというと、ファンファーレのように希望に音を乗せることが多いスネアが、まさか地獄へ行進とは思いもよらない。
1913年にアトランタで実際に起きた冤罪事件を元にした作品。
しばらくはスネアドラムの音が怖くなるとフォロワーさんたちに言わしめたこの作品。絶望しかないと言われて静かにチケットを購入しました。キャスト陣を見るだけで、声に殴られるんだろうなぁとは思っていましたが、始まりからぶん殴られて吹っ飛ばされてたと思います。
南北戦争の追悼記念パレードで紙吹雪が舞ってそれがずっと舞台の上に残り続けているのが、フランクを犯人にしたてて罪を着せようとする同調的な何かを感じて前を見るだけで苦しかったです。降り積もって何かを隠そうしているのを如実に感じてしまう。
裁判のシーンでの坂元健児さん演じるコンリーの声や言い回し、すべてに何となく説得力を感じて同調していく感じがとても怖かった、あらがえない波みたいな、なにも間違っちゃいないと思わせるカリスマ性みたいなのを感じて、実際にあの場にいたら自分は何も考えることなく同調してしまうんだろうなぁって。
そういえば、この作品を見ようと思ったきっかけが内藤君と彩春ちゃんが出るから、って理由なんですよね。19年レミゼでこの二人いいなぁって思って。21年にも出るし。とういう邪な思いがあったのを思い出しました。
内藤フランキーが彩春メアリーにデートに誘っているのがとても可愛かった。まさに恋に恋してって感じで。まさか最後にあんな仕打ちがあるとは……
最初、レオとルシール夫妻を見たときにこの二人はうまくっていないのか?
と感じたのですが、物語が進んでいくと自分に自信がないルシールがレオのために裁判のやり直しをこぎつけたり、とにかくレオを思いやる心に涙しなかないです。
そして This Is Not Over Yet
この曲、どんなタイミングで歌うんだろうかと待ち望んでいました。
この一曲でレオの人生が地獄の底から大逆転して裁判のやり直しと人生が180度変わる歌で、この曲だけが希望にしか思えないです。二人がやっと本当の意味で結ばれて……
このままピクニックで幸せで終わればよかったんです。
しかし最後に衝撃のシーン
あまりの落差にこちらも情緒が追い付かないし、思わず目を閉じてしまう。
そして深いため息
紙吹雪がひどく空虚ですべてを隠してしまう
こんなことが本当に100年前にあったのかと信じられない作品でした。
同調圧力のこわさを感じさせる作品だし、だからこそ観ることができてよかった思います。
個人的に追悼パレードの時に時が止まる?演出で、回転台だけが回っているのとても好きでした。モノローグ、好きです。